帝人グループで高機能繊維製品を製造販売する帝健は、京都大学、京都高度技術研究所と共同で、着用するだけで心電計測ができるウェアラブル電極布を開発した。15年内に、救急搬送時向け心電計測ウェアラブル電極布として、商品化を目指す。
心臓疾患は日本人の死因の第2位を占め、心臓疾患による救急搬送は年々増加傾向にある。疾患状況の判断に必要な精密な心電計測法である12誘導心電計測は、10個の電極を身体の正しい位置に取り付ける必要があるため、救急医療現場では困難とされていた。
同社では、10個の電極のうち8個を配置した帯状のe-テキスタイルを開発。身体の中心繊と腋の下に合わせて巻くことで、迅速かつ簡単に12誘導心電計測が可能となった。また1本の緯糸で複雑な模様をつくる西陣織の技法を活用。1本の誘電糸を電極・導線とすることで、高品質で安定的な工業生産にも対応する。
帝人グループは、将来に向けた発展戦略として、グループの事業や素材の融合や複合化、外部との連携を強化している。今回の開発はその一環。京都大学医学部付属病院の医療情報学の知見と、京都伝統の西陣織の技術、同社の素材調達力や製品化ノウハウを複合した。研究成果は4月中に京都で開催される日本医学会総会や、東京で開くアジア最大の医療機器関連展示会「メディテック2015ジャパン」で展示する。