《データを読み解く》投資前後の取り組みで明暗
中小企業庁の16年版「中小企業白書」によると、IT(情報技術)投資によって効果を得られている企業とそうでない企業では、投資前後の取り組み状況に大きな違いがあった。
高収益企業は効果的だった取り組みに「IT導入に併せた業務プロセス・社内ルールの見直し」「IT導入に対しての各事業部門、従業員からの声の収集」「IT導入に向けての計画策定」「IT・業務改善等についての社員教育・研修の実施」などを挙げたのに対し、低収益企業はこれらを実施していない傾向だった。
IT投資を行っていない企業に対して理由を尋ねたところ、「ITを導入できる人材がいない」が43.3%で最多となり、「導入効果が分からない、評価できない」が39.8%、「コストが負担できない」が26.3%だった。IT投資を行っている企業の課題は、「情報セキュリティーなどのリスク対応が必要」が最多で、次いで「社員のIT活用能力が不足している」「IT人材が不足している」の順だった。
■中小企業白書 製造業・建設業・運輸業で資本金3億円以下、卸売業で1億円以下、サービス業で5000万円以下、小売業で5000万円以下などが対象