ユナイテッドアローズを仲間と創設した時に日本の優れたデザイナーブランドを取り入れましたが、誰がそれを作っていたか知りませんでした。でも、その後に優れた技術を持った工場がその背景にあることを知って驚きました。最近、ファッション商品の生産を請け負っている工場は、自分たちの存在を表に出して少し声を出したほうが良いと強く思うようになりました。
異なる知見で発展
例えば、イタリアのピッティ・イマージネ・ウオモに出展しているカルーゾ、ロロ・ピアーナ、ゼニアなどは元々工場あるいは生地を作っている機屋でした。途中で、もっと発展させること、数字を伸ばすことだけでなく違う知見を入れることに舵(かじ)を切りました。テクノロジーやマーチャンダイジング、最近で言うと環境への配慮に力を入れることで会社としてファクトリーとして強くなっていったのです。また、ロロ・ピアーナは会社にペットボトルを持ってきてはいけないそうです。このように、環境への意識は海外が先行していますが、日本もその時期を迎えています。
今回ピッティ・ウオモで認められ、世界でも優れた百貨店として知られる香港のレーンクロフォードからたくさんの発注をもらったJクオリティー・ファクトリーブランド・プロジェクトに参加した各社はしばらく、この素晴らしい店で、素晴らしい顧客に商品を見て頂くことになります。
ビジネスにつながる
何をもって成功と言えるかは、人それぞれですが、日本の素晴らしい物作りをもっともっと世界に知ってもらうことが大切なことだと思っています。そして、おそらくそれは知ってもらうことだけでなく、ビジネスにつながって新たな雇用を生み出し、地域に貢献できるようになることが大切だと思います。
例えば、「東京に行かないと仕事がない」といったことは、コロナ禍以降、変わってきています。「地元の青森で就職しよう」とか「福島で就職しよう」といった意識に変わってきているのです。逆に、東京で暮らしてきた人が「宮城は自然環境もいいし魚がおいしいからいいな」という理由で地方に引っ越しても良いと思います。
このJクオリティー・ファクトリーブランド・プロジェクトは、様々な要素をもって前進していくと思っています。このプロジェクトを応援し続けたいと思っているし、皆さんも勇気をもって参加してもらいたいです。