小さな会社の代表をしていると、急いで決断すべき局面に遭遇します。最近ではコロナ禍の勤務体系や感染者対策、ロックダウン(都市封鎖)への対応などに直面しました。そのほかにも与信管理、海外拠点運営、為替への対応などで即断即決が必要な場合が多くあります。
私が経営者になり立ての頃、メリットを確信した投資の話があり、幹部全員の賛成を得ようとして他社に先を越されたことがありました。振り返るとうまくいかなかった時、自分の責任を分散したくて機会を逃したのだと反省しました。それ以来、自身で速やかに専断することも多いです。
一方で、急がずに待たなければならないこともあります。弊社では期中と期末に社員全員と1対1の個人面談をします。社員の日ごろ考えていることや意見などを聞かせてもらう機会で、話を遮らないように気をつけ、できるだけ聞き役に徹します。過去に何度も仕事の悩みや、社内の問題改善、現場の活性化に役立つ提案などがヒアリングできました。定着率への効果も感じます。軽い雑談に終始することも多いのですが、一人あたり1時間以上話すこともよくあります。
速やかに決断して結果責任をとるトップダウンと、じっくり個別に対話することで得られるボトムアップ。いずれにせよ、経営する上で双方向の意思疎通から得られるものは少なくないと感じています。
(川越政社長)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。