ワールドの15年度(16年3月期)連結業績は減収ながらも大幅営業増益を達成した。営業利益は、物流費、人件費の削減や仕入れ・在庫コントロールの実施で前期比2・2倍強の116億6800万円となった。営業利益の100億円超えは16年度に見込んでいたが、「構造改革の徹底・完遂」の成果で、1年前倒しで達成した。「仕入れ抑制が一番効いている。その結果、物流費も想像以上の削減となった」と上山健二社長。当期利益も黒字を確保し、構造改革は完了したと見て、既存ブランド、既存店舗の「再成長」施策に重点的に取り組む。そのため、16年度に300店規模を改装するほか、ワールドストアパートナーズで17年4月に1000人規模の新卒採用を計画している。
連結売上収益は、不採算事業の廃止、退店などにより6・8%減の2782億1400万円となった。減収は、仕入れ削減、不採算事業の撤退および不採算店舗の退店が大きい。同社は、15年3月期決算で①不採算事業の10~15ブランドの撤退②不採算・低収益店舗400~500店の退店③MD設計管理の徹底による型数削減を柱とする構造改革を発表。
不採算事業の撤退については、上期2事業に加えて、下期に「コキュ」「ミニマム」「ボイコット」「メディテラス」「アナザーサイドスクエア」など11事業を終了。計13事業の15年度売上高は50億円で赤字総額は10億円だった。また、国内連結ベースの退店数は不採算事業の撤退による退店111店を含め通期で479店。チャネル別退店数は、駅・ファッションビル(Fビル)が156店、SC146店、百貨店136店、路面店など41店。84店を新規出店しており、期末店舗数は395店減の2463店となった。
型数削減については、秋冬は春夏よりさらに進めた。秋冬の仕入れ額は前年同期比17・9%減、枚数ベースで20・2%減と春夏よりもさらに抑制した。一方で、正価販売率、最終消化率ともに向上したことで、秋冬の期末在庫額は54・7%、枚数ベースで56・5%減少と半減した。減収ながらも通期の売上総利益総率を0・1%減の56%に留めた。販売管理費率は物流費や人件費の減少で51・8%と2・6ポイント低下した。
16年度の重点施策は既存ブランド・店舗の活性化。明確なキャリアパスや職責に見合った処遇、優秀販売員へのインセンティブの導入を柱とする新人事制度を販売会社であるワールドストアパートナーズに10月に導入する。
また、300店規模を店舗改装する計画。このほか、17年4月にワールドストアパートナーズで1000人規模を新卒採用するなど、店舗活性化のための投資を実施する。このほか、8・5%増の142億円となったEC売上高のさらなる伸張に取り組むほか、出店政策では近隣型のNSCなど主に地方小商圏市場での出店を強化する。