《私のビジネス日記帳》情熱と執念で門をたたく エイガールズ社長 山下智広

2025/11/19 06:25 更新NEW!


 海外に挑戦する時に必要なのはシンプルで、いかに会社の印象を残せるか。自分たちの強みをしっかり伝える準備が大事です。エイガールズの素材作りでは、極細で繊細な糸を厳選して使用し、軽くて滑らかな肌触りと美しいドレープを実現しています。

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 海外との商売は、素材の良さだけでは足りず、素材作りへの執念や情熱がなければ難しい。欧州で戦うにはスピードと柔軟さを持っていないと、そもそも勝負になりません。欧州の生地屋さんは受注から5~7日で納品しますが、日本では輸送もあるので、その速さに追いつけません。だからこそ、1~2週間待ってでも欲しいと思える強い素材と営業力が肝心です。

 営業マンだった当時は、生地を直接売りに行き、自分自身をとにかく売り込んでいました。会社の顔として覚えてもらうためです。取引先に宿題をもらって困難だと思っても「できます」と言い、メールはすぐに返信する。頼みやすい人間関係や信頼感が生まれ、今も欧米と商売が続いています。

 もう一つ、五感を大切にしています。国内外での展示会では音楽や香り、飲み物などで感覚を刺激する空間演出を徹底し、素材の印象を強く記憶に残すことを目指しています。社員の身だしなみや立ち振る舞いにも細心の注意を払い、全体としてブランドの魅力を高めています。世界中に多くの生地屋がある中で、「ここはなにか違う」「似たような生地ならエイガールズで買いたい」と感じてもらえる存在になることが理想です。

(エイガールズ社長 山下智広)

 「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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