《服を売ろう》大手レディスアパレル16年春夏 アイテムの枠組みを超える
大手レディスアパレルで従来のアイテムの枠組みを超える開発が続いている。16年春夏はスーツやジャケット、インナーといった区分にとらわれない企画が多い。中間的なアイテムの組み合わせで、汎用性の高いスタイリングを提案、気候にも柔軟に対応して需要を掘り起こす狙いだ。
概念を変える
「セオリー」(リンク・セオリー・ジャパン)は「これまでのスーツの概念を変える」とし、テーラードジャケットとパンツという基本や定番を覆す〝モダンワークウエア〟を打ち出す。ジャケットに合わせるパンツがレギンス風だったり、ドレス感覚のジレのセットアップがあったりと、色、柄、素材を含めて多彩で、単品としてもコーディネートの幅が広いのがポイントだ。
例えば、ドライでドレープ性のある二重織りクレープを使ったセットアップはフィット感のあるウエストを絞ったペプラムジャケット(4万4000円)に、センターシームがアクセントのハリウッドウエストバンドのレギンス風パンツ(26000円)を組み合わせた。
視覚的に変化
「ICB」(オンワード樫山)が来春夏のメーンに据えたのは、従来のアイテムの概念や境界を越えたスタイリングの提案だ。「羽織り物も袖を通さない着方が広がり、今までのジャケットとインナーでは通用しない場面が増えている。今秋も、ロングの羽織りなどアイテムのカテゴリーを超えたものが売れている」とし、ロングジャージーアウターやフーデットコーディガン、シャツ地のジャケットやコート、非常に薄いシルク100%ジャケットなど、従来のブラウスからジャケットの中間のアイテムが充実した。スカート風ガウチョパンツを含め、視覚的に変化のある企画を揃えた。
スーツもデザインにひねりを加えた考え方〝ツイステッドスーチング〟を基本とした。従来のジャケットとボトムではなく、多様な共素材によるコーディネートの発想で、ジャケット、ボトムに加え、ブラウスや羽織り物、コンビネゾンなどの多彩なバリエーションでセットアップを提案する。ストライプの同素材のブラウスとパンツはセットアップで着られ、ボリューム感のあるチェスターコートと組み合わせても軽い雰囲気だ。
アイテムやスーツに対するこうした新しい発想は、需要の掘り起こしが目的。加えて、気温によって狭められてきた購買動機を、汎用性の高さで広げる狙いもある。
繊研 2015/11/27 日付 19364 号 1 面