坂善商事が外国人客の獲得に力を入れている。16年9月期は新たな試みとして、都心の主要店舗に中国人の販売員を配置、通訳機能アプリを搭載したタブレット端末を導入するなど接客サービスの向上を図っている。販促への投資も増やし、外国人客への販売の拡大を目指す。3月には丸栄(名古屋)に「サカゼン」業態を出店し、関東より西に初進出する。
外国人客への対応を強めているのはサカゼン業態の中でも都心立地で大型の本店や新宿店、池袋店、渋谷店、馬喰町店、蒲田店のほか、カジュアル衣料を中心とする原宿地域の店舗だ。これまでにもレジ横の免税カウンター設置や海外SNS(交流サイト)と連動したキャンペーンなど外国人客の獲得に向けた取り組みを進めてきた。
その結果、前期の主要店舗の外国人客売り上げ比率は2%まで高まった。その比率を「早期に10%まで高めたい」(熊谷英二取締役)とする。今期は販促予算を前期の2倍に増やし、外国人客獲得に向けた仕掛けを一層強めている。
中国人の販売員を新たに採用し、主要店舗に配置した。まだ主要店舗のすべてに配置できるほどの人員が確保できていないため、英、中、韓、タイ、露の5カ国語に対応した通訳アプリを備えたタブレット端末も導入し、接客に活用している。
商品構成も変えている。外国人客に好評な商品は、大きめサイズの紳士のカジュアル服をはじめ、国産スーツやシャツ、インポート物。原宿地域のカジュアル業態店舗はキャラクター衣料や漢字のプリントものなどが良いという。今期は女性向けのブランド衣料やバッグを増やしているほか、トラベルバッグなども新たに加えた。
仕掛けの効果で15年10~12月の外国人客売り上げ比率は4~5%に高まった。今後は機内誌や電車の中づり広告、ツアー会社のパンフレットなどで露出を増やし、認知向上を目指す。
丸栄の6階に出す新店の売り場面積は1115平方㍍。関東中心に店舗展開してきた同社にとって関東以西への出店は初めてだが、「名古屋・栄地区は商圏として魅力的。丸栄も歴史のある百貨店のため期待できる」という。大きめサイズやインポート衣料を軸に30~40代の男性を主対象とする計画だ。大きめサイズのレディスも揃え、メンズ・レディス複合のMDを組む予定だ。新店の初年度売り上げ目標は3億5000万~4億円。
今後も「条件とタイミングが合えば、関東圏にこだわらず出店していく」考え。15年12月末時点の店舗は35。今期は出店1店、退店1の予定。