青山商事はヤング向け都市型業態「ザ・スーツカンパニー」とセレクト業態「ユニバーサルランゲージ」で、今春からカスタムオーダー事業を開始する。3D撮影して仮想試着ができる独自開発の「バーチャルフィッティングアバターシステム」を活用し、紳士オーダースーツとシャツで若い客層の新規獲得を狙う。今春は新業態を含め東京都内の5店でスタートし、数年以内に既存店40~50店に広げる計画だ。同時に、初のレディス単独業態「ホワイト・ザ・スーツカンパニー」も立ち上げる。
スーツ市場は人口減少やクールビズの定着、オフィスウエアの多様化など環境が激変している。これを背景に同社は中期経営計画の目標達成に向け、以前から課題としていたオーダー事業に踏み出す。従来のオーダースーツは、利用する世代も価格も高く、若い世代には敷居が高く感じられた。完成品を着用した姿をイメージしにくいため、敬遠する人も多かったと見る。同社はオーダー事業は後発なため、仮想試着を活用し、若い世代にファッションとして気軽に楽しんでもらうことを狙う。
バーチャルフィッティングアバターシステムは米国オクシピタル社の3Dカメラの技術を応用し、青山商事グループが開発した。来店した客の顔を特殊なカメラを搭載したiPadで3D撮影し、画面上の仮想ボディーにプログラミング加工することで「客のアバター(分身)」を作成する。
360度撮影の姿やトータルコーディネート、生地の質感まで画面上で確認できる。アバターで色柄やデザインを無数に試すことができる「新しい買い物の形」を提案する。イタリア、英国、日本の上質な生地を1000種類以上揃え、8モデルから自分に合ったサイズを選べる。縫製はマシンメード、ハンドメードを選択でき、日本の職人が技術指導した中国工場で生産する。納期は約1カ月。将来はスマートフォンと連動させたサービスも計画している。