アシックスは、スマートフォン向けのランニングアプリ「ランキーパー」を運営する米国のフィットネスキーパーを買収する。全株式を約85万㌦(約102億円)で取得し、完全子会社化する。
米国を中心に全世界で約3300万人を超える登録会員を取り込み、DTC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)を起点にした顧客との直接的なコミュニケーションを強化することで、商品開発や販売戦略に生かしていく狙い。契約締結日は2月12日、株式取得日は3月上旬の予定だ。
ランキーパーはスマホに運動中の走行距離やペースの通知、運動記録の管理・分析機能などを提供するランニング管理アプリとして支持されている。
アシックスも自前のランニングアプリ「マイアシックス」を開発・提供しているが「グローバル市場で高い認知度のブランドと世界に広がるユーザー層を取り込む」ために買収に踏み切った。ランキーパーのユーザーはファンランナーが多く、コアランナーに強いアシックスにとっては新規顧客の獲得にもつながる。
この間、スポーツ用品メーカーによるフィットネス系アプリ提供企業の買収が相次いでおり、昨年2月にはアンダーアーマーが、携帯端末を使って健康管理できる情報システムを提供するフィットネスアプリケーションのマイフィットネスパネル(米サンフランシスコ)を買収し、先に買収したエンドモンド(デンマーク)、マップ・マイフィットネス(米ダラス)と合わせ、デジタルヘルスケア市場での収益基盤強化に取り組んでいる。
昨年8月にはアディダスグループが「ランタスティック」を約2億2000万 ユーロ で買収、ナイキは自前でスマホ向けのランニングアプリを提供しており、スポーツ用品メーカーにとっては製品開発や今後のサービス開発にフィットネスアプリとの連携は欠かせなくなっている。アシックスも「当社のデジタル技術分野を率いるリーダーシップチームと開発拠点を獲得することになる」としている。